マンションの話を聞くと、緑川の、悪く言えばヘナヘナした、芯のないこんにゃくのような感じは、とても甘やかされて大事にされてきた証のような感じがしました。損得考えず、人に親切にする様子は、改めて見ると、お坊ちゃまらしく見える気がしました。
お財布の紐がゆるゆるな緑川を見ると、お金に困ってなくていいなぁ〜と思いました。(当時私は婚活に命を掛けすぎて、めちゃくちゃ金欠女でした)

緑川はすごく私を褒めてくれ、綺麗だ美人だと必要以上に言ってくれました。緑川といると、女性ホルモンがどんどん分泌されて、本当に綺麗になっていく感じがしました。一方で、彼といると、私の外見ありきで一緒にいるんだな、外見を前提にこの関係が成り立っているのだなと思わせられました。なんとなく、彼の発言や立ち振る舞いには、ちょっとした選民思想みたいな香りがして、いい女を連れて歩きたいみたいな、彼の自尊心の高さが窺えました。
しかし、私はそこまで綺麗ではありません。街には超綺麗な子がたくさんいて、そういう子は骨格から違いますし、私なんか可愛さで言ってもドラミちゃんくらいの感じです。いや、ドラミちゃんの方が可愛いと思います。頑張って髪を巻いて、きれいにお化粧しているだけのアラサー女子です。
緑川の過剰な褒め方には、私を不安にさせるエッセンスがふんだんに混じっていました。